●フロム蔵王 四季の便り<1996.NOV>

 
<フロム蔵王アイランドガーデン>

 11月、もう既に2〜3回の霜がおりた。蔵王では厳しい冬が、もう直ぐ近くまで来ている。木々や草花も紅葉し、強い風にその身をまかせている。野生の小動物、小鳥、昆虫、微生物にとっても、これからおとづれる厳しい冬に備えて、草、木の実りを満喫している。今年最後の豊かな時間だ。
 枯れ始めた夏草の茂みを歩くと、数十把の小鳥が一斉に飛び立つ、夏草は来年のために数知れぬ程の種を実のらせ、その足元には、冬草が生き付いている。夏草の無数の実は、小鳥達の豊かな餌になっているのだ。私達人間があまり気付かない、地上と地中の壮大な宇宙が、ここではごく自然に営まれている。

 

<ハーブガーデン>

ラムズイヤー
 晩秋のハーブガーデンを訪れる人はめっきり少なくなった。秋のガーデン、冬のガーデンもそれなりに味わいがあるのだが、現実はそうではないようだ。ガーデンには四季咲のバラ、タイム、春のこぼれ種のカモマイル、メキシカンセージ、パイナップルセージ、チェリーセージ、ブルーセージ、キャットミント、ローズマリーに何故かラベンダーの花が、華やかではないが、静かに咲いている。他のハーブ達は、果実や実を充実させ、あるいは既に土に種子をおろし、あるいは根や地下茎を充実させながら春の準備をしているのである。この時期になると決って考えることがある。それはハーブ達や草花のキューピットである虫達が少ない季節に何故花が咲くだろうか。まだまだ植物との会話が少ないのだろう。