山田乳業株式会社

生産地エムエスファーム

「フロム蔵王」のおいしさを支える酪農家
株式会社エムエスファームさん


全国へお届けしている「フロム蔵王」の乳製品は、蔵王連峰のふもとにある牧場で搾られた生乳から生まれます。
その生乳を生産している酪農家の一つが、蔵王高原にある株式会社エムエスファームさんです。
フロム蔵王の製造工場から、車で約20分。緑の中を抜けていくと、ホルスタイン用の牛舎が見えてきました。車から降りると、猫たちが出迎えてくれます。
施設前景
猫
社長の佐藤工季さんにお話しを伺いました

牧場主の佐藤工季さんは、子どもの頃から牛舎を遊び場のようにして育った2代目。
妻のかほりさんと、牧場スタッフ4名とともに約140頭を飼育しています。そのうち、ホルスタイン種が約70頭、黒毛和種が約70頭です。
酪農家の三男として生まれた父親の正志さんが、会社勤めを辞めて念願の牧場を始めたのが、工季さんが3歳の頃。子どものときから、牛舎につり下げられたブランコで遊び、牛の体を触ったり、背に乗ったり。工季さんの記憶の中には、ずっと牛がいます。

「そういえば、母親がクーラーボックスから生乳を取り出し、ミルクシチューやケーキをよく作ってくれました」

高校を卒業後、いくつかの仕事の経験を積み、24歳から父親を手伝い始めます。
2011年に牧場を受け継ぐとき立ち上げた株式会社エムエスファームは、酪農の意思と夢を継ぐ思いから、父親のイニシャルを社名にしています。

笑顔でお話してくれた代表取締役の佐藤工季さん

当社工場から車で20分程度の近さで牧草地が広がる蔵王高原。朝夕の涼しさは、暑さに弱い牛が過ごしやすい気候です

季節になるとホタルが飛び、メジロやヒヨドリも見かける自然豊かな環境

牛のためにできること

毎朝、工季さんが必ず行うのは、牛たちの顔を見て回ることです。
「牛舎に入った瞬間、牛たちが一斉にこちらを見て鳴き始めるんです。かわいいなって思います。1頭1頭見ていくと、様子がおかしいときは、すぐ分かります。熱があれば顔の表情から。痛そうにしていると、顔つきが違いますから」

予防的な処置は自分で行い、手に負えないときは獣医さんに頼みます。その判断は、経験によるところが大きく、「これだけは他の人には任せられない」という言葉からも、生命に関わる責任の重みが伝わってきます。

牛によって性格は全く違い、それぞれに合わせた対応も心がけています。
「神経質な牛であれば、びっくりさせないように。人間を友達だと思っている牛は、舌でベロベロとなめてくるので痛いのですが、自然とハグやスキンシップが多くなります。マイペースな牛は、そのペースを乱さないように基本的には何もしないですね(笑)」
穏やかな落ち着いた表情で、工季さんに寄ってくる牛たち

牛たちへの接し方として、工季さんの根幹になっているのが『酪農家キーニィの牛飼い哲学』の一節です。
この言葉は、工季さんが酪農の仕事を初めて間もない頃から心にあり、エムエスファームの取り組みにつながっています。
「牛のために何ができるのか、いかに気持ちよく過ごしてもらえるか、ということを第一に考えています」

暑さに弱く、きれい好きの牛たちのため、牛舎の天井は高くして換気をよくし、全頭に涼しい風が当たるようファンの間隔や角度まで考えて設置されています。
牛たちがケガなく安心して移動できるよう、通路はゆったり3メートル幅に。
寝床は牛が汚れないように、ふかふかのおがくずを敷いて、居心地よくくつろげるようにしています。

清掃が行き届いていつも清潔に保たれている牛舎




鼻先で給水機の先を押せば、いつでもおいしい井戸水が

牛の寝床を清潔に保つおがくずも、良い香り

掃除は毎日、朝と夕方の2回は必ず行い、汚れていればその都度、気が付いたときに清潔にします。水を飲むウォーターカップも、いつでも新鮮な水が飲めるようきれいに。搾乳前には、消毒したタオルで乳頭を丁寧に拭いています。


パイプラインミルカーを付けて、ただいま搾乳中・・・・


自家栽培の牧草を発酵飼料に
エムエスファームでは、牛たちの餌として自家栽培の牧草を使用しています。
「数年前から輸入飼料が高騰していることもあり、自家生産した牧草を発酵させた飼料をメインにしています。人間にも発酵食品が良いように、牛も一緒なんですよね。消化吸収の効率がいいんです」

牛たちの生育や状況に合わせ、餌の種類も変えています。

牧草は年3回刈り取り。適期に刈った牧草は栄養価が高く、柔らかいのが特徴です

たとえば、離乳してから妊娠するまでの育成期の牛には、たんぱく質や炭水化物、脂肪などの栄養を多く含む濃厚飼料を。搾乳期の牛たちには、発酵飼料をメインに、さまざまな餌を配合した混ぜご飯形式でバランスよく。次の分娩(ぶんべん)に備えて搾乳を中止している乾乳期の牛たちには、発酵した自家栽培の牧草が中心です。

一般的に、乾乳期の牛には良い餌を食べさせても無駄という考えがありますが、エムエスファームでは、いかに乾乳期に餌をおいしく食べてもらうかに心を配っています。それは、人間にとって食事が大切なように、牛たちの健康にも良い餌が重要だからです。

搾乳牛には、発酵飼料を中心に栄養バランスの良い混ぜご飯形式

育成牛がペロリと食べている濃厚飼料も、おいしそう

乾乳牛たちは、発酵した牧草をしっかり食べて体力を回復します
牛たちが幸せそうであれば
エムエスファームでは、牛たちの餌として自家栽培の牧草を使用しています。
牛たちがいつも快適に過ごせるように。エムエスファームでは休みなく牛の世話をし、牧草の栽培から刈り取りまで行っています。手間も費用もかかる大変な仕事ですが、工季さんたちエムエスファームにとって、牛たちとの関係は特別なものです。

「牛のことを経済動物だと考える人もいますが、うちではちょっと違います。あまり働かなくなった牛、たとえば、乳量が少なくなった牛や、乳質が多少悪くなった牛、年を取った牛も、肉牛として淘汰しないんです。受精卵移植という技術を使って和牛を生産してくれますから。一般的な酪農家とは違うやり方ですが、それが自分の目指す酪農であり、やりたいことでもあるので」

その思いが日々の接し方からも牛たちに伝わるのかもしれません。エムエスファームの牛たちは、静かで穏やかなのが特徴です。

乾乳牛は次の分娩に向けて栄養補給し、ゆったり過ごします


生後1カ月のホルスタインの子牛は、栄養たっぷりのミルクをごくごく


「牛が幸せそうに見えたとしたら、それが一番うれしいです。そこに力を入れているので」と話す工季さん。
妻のかほりさんも、牛が喜ぶところをなでてやり、子牛がミルクを勢いよく飲む様子を笑顔で見守ります。

牛とひとが支え合って生きているエムエスファーム。
すっきりとして、ほんのり自然な甘みのある牛乳は、蔵王山麓で育まれた牛たちからの贈りものです。


愛情たっぷりに育てられた牛たちから搾乳された生乳は・・・

生乳はバルククーラーで冷やされて保管


タンクローリーで集乳し、クーラーステーションを経由して工場へと運ばれます


蔵王高原の豊かな自然の中で生産される新鮮な生乳から作られた「フロム蔵王」の製品をどうぞご賞味くださいませ。


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